2015-10-08 初恋 まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり やさしく白き手をのべて林檎をわれにあたへしは薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめなり わがこゝろなきためいきの その髪の毛にかゝるとき たのしき恋の盃を君が情に酌みしかな林檎畑の樹の下に おのづからなる細道は誰が踏みそめしかたみぞと問ひたまふこそこひしけれ 島崎藤村 「髪」はいつも恋や愛にまつわる表現によく使われる 初恋の中では淡く 情念の中ではしっとり濡れているような どんな髪を描こうか